平和ボケ

街にクリスマスツリーが出現し、人々がクリスマスに心を踊らせる中、

ストラスブールでテロがあった。

 

現場はクリスマスマーケットの近く、観光客がたくさん集まる通りだった。報道によると死傷者は14人だという。

 

ストラスブールに来て3ヶ月が経ったが、未だかつてとりわけ大きな事件などなくて、こんな平和な街に、なんで…と強くショックを受けた。

 

真っ先に考えたのが家族のこと。今回はたまたま助かったからよかったが、明日は我が身かもしれないし、こんな形で一生会えなくなるのは嫌だ。

それに、年末に家族が来るのである。うちは裕福ではないので、海外旅行というのはものすごく贅沢なことだ。ましてヨーロッパ、フランスというのは初めてで、私が留学した当初からすごく、すごく楽しみにしてることがメッセージ上でも分かる。

そんな矢先にまた今回のようなテロがあって、旅行の思い出が台無しになったら、最悪事件に巻き込まれてしまったら…と考えると本当に怖い。正直、来ないで、と言おうか迷った。

 

人づてに聞いた話だが、犠牲者の1人はタイから観光に来ていただろう夫婦のうち1人で、もう1人は家族連れのお父さんであるらしい。両者とも、大切なもの、守るべきものがあるのに、無念にも金属の引き金により命を奪われたのである。

 

 

日本でも、自然災害はあるもののテロなんて外国の事件だと思って、だからこそ日本で起こるはずないと思ってたし、その感覚で所謂「外国」に来てしまった。危機感があったのは最初だけで、ストラスブールの平和さに甘えてしまっていた。でもだからといってテロを正当化するつもりは毛頭ないが、やはり危機感というものをほんのちょっとでも持つべきだと思った。

 

この時期のストラスブールでは中心街に行く際荷物検査を行なっているが、いささか検査の質に疑問を抱くところがあった。実際のところ え、ちゃんと見てなくない?大丈夫? と思うほど警備が甘い。人が多いときなんか、警備員の目を盗んで素通りすることだってできる。

おいおいこんなんでいいのかよ…と思っていたらこれである。

 

一度平和に慣れてしまったら、やはり「平和バイアス」がかかってしまうのかもしれない。事件を未然に防ぐことが最上だが、起きてしまったことは仕方ない。これからどうするか。

最後に、犠牲者への追悼の意を込めて。合掌。