俺の初恋はロックンロール

私がロックを好きになった本当のきっかけは父親のおかげだ。

 

 

私の故郷は車社会である。そのため、移動は常に自家用車だった。父親の車は常にロックが流れていた。ストーンズスプリングスティーン、浜省、クイーン……

 

父親はCDもたくさん持っていた。実家のリビングの、天井まで伸びるほどのラックにびっしりとCDが並べられていた。

 

また、父親は土日祝日しか休めないので、よくテレビ番組を録画していた。

ある日、私がゴロゴロしていると、父親が録画していた番組をつけた。

まどろみながら見ていると、どうやらジョンレノンのイマジンの特集らしかった。

 

Imagine there's no country 

この歌詞とともに映し出される現状に私は一瞬で目が覚め、この特集に釘付けになった。当時の私よりも幼い年齢の子供が働きに出ている…

 

正直ショックを受けた。国境がなかったら、この子たちは私と同じように教育を受けていたのだろうか。国境がなかったら、貧困や戦争もなくなるのだろうか。私にできることはないのか。などと、幼心に思ったものだ。

 

この番組でジョンレノンを知った。そしてビートルズを知った。(事実、ビートルズを知るよりレノンを知るほうが早かったのである)

キャッチーなメロディ、語呂のいい歌詞に私はまんまとハマった。ちょうど実家にベストアルバム "1"   があったのですかさずウォークマンに入れて聴きあさった。

 

これが私の「ロックへの目覚め」である。

 

 

私は、中学から高校時代にかけて典型的な思春期の真っ最中におり、父親とも最低限の会話しかしていなかった。しかし今だから言えるが、根底では彼のことを認め慕っていたのである。ギターを始めたのも父が弾き語りをしているのを目の当たりにしたからだし週末に聞こえるHighway Starのギターソロにも実はうっとりしていた。

ギターを自在に操る父親に憧れてはいたものの、思春期だったため、父親のアコースティックギターを拝借してこっそり練習していた。

 

 

母親は、「なんでこんな人と結婚したんやろ」とよく言う。私も昔はそう思ったものだ。しかし今は、父親こそが私にとって理想の人だとさえ思う。そう思えるくらいには私は大人になったのだろう。

思春期が激しかった分、今は素直な気持ちになれる。

私にロックを教授してくれてありがとう。

 

 

最後に

 

私が現在使っているエレキギターは、

30年前、父親が学生時代に使っていたギターなのです。